ある議員が国会質疑で、他国で目撃されたいわゆる「UFO」の話を唐突に切り出し、
「UFOに対してスクランブルをかけたことはあるか」と質問したらしい。
もちろんこの質問は委員の失笑を買ったそうだ。
しかし、「UFO」の本来の意味は、言うまでもなく「未確認飛行物体」だ。
なにも、「じゃあ国籍不明機に対して緊急発進を行ったことはないのか」などと
安直でありきたりな揚げ足取りをしようというのではない。
ただ、「宇宙から飛来した飛行物体に対して緊急発進を行ったという事例は報告されていない」
などと答弁して周囲が苦笑するような反応からは、「未確認飛翔体」と件のドローン事件とを
結びつけて答える真摯さは窺えない。
「国籍不明機(Unknown)」とは、航空機であろうと確認または推測される、所属不明の飛行物体
である。
これに巡航ミサイルが含まれるのかどうか、よくは知らないが、少なくともこの概念は、無人機が
軍事的脅威となりつつある今日の状況を踏まえて決められたものではないことは確かだ。
ラジコンや、GPSを使った航法技術がどんどん廉価になって拡散する中、こうした技術が
テロなどに悪用される危険性は日増しに高まっている。
そんな中での官邸ドローン事件だった。
ドローンなら、狙った場所にピンポイントで、例えば病原菌や放射性廃棄物を詰め込んだ
カプセルを持ち込ませ、破裂させて拡散させることもできる。
これがラジコン機なら、方法は空中散布に限られ、搭載力などから効果は薄くなるし
狙いも外れる可能性が高くなるのだが、ドローンであればイベント会場などの屋内に侵入させる
ことも不可能ではない。
便利な分だけ危険なのだ。
では、仮にその対策を立てるとして、この種の飛翔体を一体何と呼称するのか。
「国籍不明機(Unknown)」とは、所属が不明な航空機のことである。
むろん、全ての飛翔体を「国籍不明機」に含めてしまうこともできるが、例えば低速のミサイル
をそう呼称するのは、やはり違和感がある。
そのまま「アンノウン」では矛盾はしないが、今度は語意が広義すぎて、記録上では
それが飛行機なのか戦車なのか判然としない。
では「未確認飛行物体(UnknownFlyingObject)」なのか。
しかしそれでは、既に一般化してしまった「UFO=宇宙人の乗り物」というイメージとの
混同を招くきらいがある。
果たして、こうしたことを真剣に考えている者が、いま「UFO」と聞いて失笑で済ますことが
できるものだろうか。
ユニークな議員の顔を目にし、その口から「UFO」と聞くと、失笑するのはもはや条件反射
なのだろう。
俺は、この「条件反射的な反応」が、低俗でガラの悪い反応の次に嫌いだ。
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