https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20230312-00340822
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>「もし飽和攻撃で使うなら必要最小限度の攻撃で済まず専守防衛に逸脱するのではないか」と質問しています。これに対し浜田靖一防衛大臣は「日本にはそぐわないかもしれない。飽和攻撃の装備を日本は持っていない」と答弁
大変単純な誤解に基づくやり取りですが、記事も重要な欠落があります。
そもそも、「飽和攻撃」とは「相手の対処能力を上回る同時集中攻撃」を意味します。しかし、逆にこれができない装備というものがあり得るでしょうか?
持っている武器がたとえナイフ一本であっても、敵兵を取り囲んで一斉に斬りつければ「飽和攻撃」です。従って、「必要最低限でない使い方ができるから装備できない」という理屈では、そもそも武装できない理屈になってしまいます。
防衛大臣の答弁は従来の政府見解との整合性について答えたものですから、必ずしも彼個人の誤解とは限りません。質問者に誤解があるのです。
日本政府の言う「必要最低限」とは、個々の戦闘や戦術単位ではなく、少なくとも作戦単位、戦略上の話だと思われます。
ひと言に「防衛」とは言っても、個々の戦闘や作戦の中では「攻撃」も行います。それが「交戦」というものだし、それはウクライナ軍の戦い方を見ても分かるでしょう。要は「敵をやっつけて退却に追い込む」ことを「撃退」というわけですから、その中の部分を切り取れば攻撃もしてるわけです。
これを禁止してしまえば、そもそも戦うことができません。
政府が言う「必要最低限」とは、おそらく「オーバーキルは避ける」という意味です。
「オーバーキル」とは、要は「やりすぎ」「必要以上」のこと。これをしないというのは、例えば、身動きが取れない手負いの敵兵一人に対してはまず投降を促したのちにせいぜい小銃による銃撃程度が適切であって、何も戦車砲弾をお見舞いするようなことはしないということです。
記事にもあるように、飽和攻撃の目的は必要から生じた攻撃で、オーバーキルを意図するものではありません。
覚えたての言葉に飛びついて批判に利用するのではなく、ちゃんと消化してから使うように心がけていただきたい。意趣返しは、身の丈に合わない相手と張り合うこともできる反面、リスクを充分把握せずにできてしまう危険があります。「諸刃の剣」なのです。