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加会社×被会社

窮鼠猫を噛む

無題





何を隠そう、ものぐさな俺は、

「ここですんなり褒めてやれば、もう20年くらいは稼げるかな」

とも思ったが、お互いもう若くはないし、何より渾身の力で打ち込んできてくれた藤堂君に対してそれでは失礼だと思い、その意気に免じて本当のことを教えることにした。



その昔、まだ俺が20代そこそこの頃だよ。

当時仕込んでたネタについて、知人が何気なくぽつりと言った。

「正直俺、君のネタ見て本心から凄いと思ったことは一度もないんだよ」

いま思えばそんなに深刻に受け止める必要はなかったんだが、内心は動揺したよ、表面的には「褒めてもらって」たから。

その時は「これが俺のスタイルだから」みたいなことを言って流したが、どうしてもそのことが頭から離れなくてちょっと頑張ってみたの。

それでやってみて分かったんだけど、こういうお堅い論文調って、実はできない奴が思ってるほどつぎはぎで作れる簡単なもんじゃなくて、これ一本描くためには題材になる分野を包括的に理解した上でやらないと書けないのね。
そりゃ時間かかったよ。
でも、手当たり次第に悪戦苦闘するうちに、いつしか体裁を整えることができるようになってきた。
持つべきは友だね。

でも、そしたらそいつ、何て言ったと思う?

「なんか俺、以前の君のネタの方が好きだった」

きれいなオチでしょw
もしかしたらそいつ、自分が何言ったか覚えてなかったのかもしれない。
そりゃ大いに不平をこぼしたよ。



俺はつくづく、お前らのことをかいかぶってたと反省してる。
全て分かった上でとぼけてると思ってたんだよ。
でも、どうしても負けられない意地がかかった勝負で、それで勝負してきたのを見て本気だったと分かった。
申し訳ないやら何やら。

いいかい、もしそれが「実力」なら、プロで書いてる奴は全員100点だろ?
でも、「プロになれたら100点」の基準では、実際にはプロにもなれない。
何故なら、他の奴は「その上」を目指して成長するから。

中学生の時、俺は自分が書いたものをある人に見せてこう言われた。

「あとは感性の問題だな」

『中学生としては技術的には申し分ない』と言われたんだよね。
当時はよく分からなかったんだが、いま思えばすごい評価されたと思う。

そうなんだよ。
その先が本当の勝負なんだよ。
「これをすれば勝てる」を見つけられるのが、本当の資質であり才能。
御大の話の時も言ったでしょ。
『こればっかりは御大の力を借りるしかない』って。
そこで借り物しちゃったら、それはダメだよw

そこまでは、何をどうすれば書けるようになるか、20代の若造でも分かること。
だがその先は、何をするにも自分の手で暗中模索しなきゃならない。

「どうしても」とお前らが言うなら、書いて見せてもいい。
だが、もし俺が書いて見せたら、お前らはきっとこう言うよ。

「前のネタの方が面白かった」。

たぶん無駄足だと思う。

俺は今後も、今まで通りに一番大事な部分を伸ばすよ。
枝葉末節じゃなく。









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