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そもそも「バランス型」って整理の仕方がズレてるんだよね。
WWII期の軍用機が典型的なんだけど、例えば、特定の用途に全振りした機種は確かにあるんだよ。その一つである「偵察機」は速度と航続力に全振りしてる。一方、戦闘機も速度が高い方が有利って言われてる。じゃあ、「偵察機を武装して戦闘機にすれば強い」って理屈になるよね?
ところが違うんだな。
偵察機は確かに速力は高い。でも、全振りしてるから、空中で複雑な機動を取れない。急旋回なんかすると、機体にGがかかるわけ。だから、機体が耐えられる範囲で旋回しないと、機体がGに耐え切れなくて分解してしまう。偵察機は、この高いG負荷に耐えられるようにできてない。
つまり、偵察機は真っ直ぐ飛ぶのは速いが、その分動きが鈍く、曲がったりかわしたりするのが苦手ということ。実際、戦闘機に転用された偵察機もあるにはあるが、夜間戦闘機や対大型機用の邀撃機・特攻の直掩機などの特殊な任務に限られた。
じゃあ戦闘機の方はどうだったか。
空中戦の戦術思想は主に二つ、「速力を活かして航過ざまに一撃」と「身軽さを活かして巴戦で相手の背後を取る」。
しかし、どんな戦闘機も、いずれか一方にだけ全振りすることはなかった。なぜなら、戦場では常に自分が主導権を握れるとは限らないので、状況によっては不利な戦いにも付き合わなきゃいけないから。戦闘機で全振りしちゃうと、「全振り」のメリットより「一長一短」のデメリットが勝っちゃうわけ。
つまり、戦闘機とは「バランス型の航空機」じゃなく「速力と機動性の調和」ってこと。
火力や航続力・防弾性能などは必要分あればいい。バランスを取らなきゃいけない要素は決まってて、逆に言うならその二つに「全振り」してるの。
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