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対案のある批判と無い誹謗中傷。
満州事変と北支事変。
ウクライナ軍の過去の作戦と越境攻撃の一件の違いはそこにある。
満州事変は、石原が、このことが外交上持つ意味の重大さを分かった上で、それ以上の効果を上げるために実行した。
北支事変は、単純に首謀者自身のサクセスストーリーとして正当化するための目的しかなかったので、代償を越えるような成果はなかった。
見事に石原と東條の作戦の違い通りに明暗が分かれたが、北支事変にて東條が糸を引いた証拠はない。東條自身が関わったのか、あるいは「別の東條」による画策だったのか。
いずれにせよ、それをやるに十分な器量を持たない者が、形だけ模倣してやりっぱなしたのが北支事変ということ。
見てください。ロシア占領地の広大さに比べて、ウクライナ占領地の小さいこと。現状、何もないよりマシ程度の効果でしかない。だからウクライナも功を焦って西側の支持を取り付けようと奔走している。
普通に考えて、兵力で比較したらウクライナ軍の方が不利なんですよ。戦線広げたら防衛のために割かなきゃいけない戦力も等比級数的に増えるんですよ。
果たしてそこ計算してやったのかどうか。
大事な遊撃戦力を消耗するほどの価値があったのか。「一方的に攻められっぱなしの被害国」の肩書を捨てるほどの価値があったのか。
そりゃロシアだってまさか越境してくるとは思ってないから奇襲にはなるでしょうよ。でもウクライナは自前で戦争してるわけじゃないから、戦線広げると継続的にかかってくる戦費がどれだけ膨らむか真剣に考えてないでしょ。西側はそこ考えて戦域を限定したかったの。
ウクライナ陣営の狙いは、ロシア側に我が方を越える出血を強い続けることにあったはず。
この作戦は、みすみす我が方の出血を増やしてしまった。
結果とは、必然性に基づいて出るものなの。どんなに道義的に正しいから、正当化できるからと言って、それで結果の方が道理を無視してついてきてくれるものじゃない。
現場の指揮官が反対して更迭された噂もある。
ウクライナ側は、なぜ西側が「直接参戦」ではなく「軍事支援」なのかを考えなきゃいけない。その一線からロシア本土への侵攻までどれくらいの距離があるか。キーウからモスクワまでたかだか1500㎞だが、そこまで近いとは到底思えない。
この越境攻撃の事実は、停戦交渉においてウクライナ側に不利に働く。だから、ロシアも本気で押し戻そうとは考えない。できるだけ長く、この事実を世界中に見せつけて記憶させようとするだろう。本気で押し戻そうとしないから、もちろん緒戦を再現するチャンスもない。
どうも、ロシアが踏んだ轍を踏んでしまった感がある。
正義だろうが何だろうが、無理なものは無理。ウクライナはよく戦っている。しかしよく戦ってもどうにもならないこともある。
石原は、北支事変の暴挙を質した折に「貴方と同じことをしたまで」と言われて二の句を継げなかったという逸話がある。
たぶんこれと同じような理由だろうな。
石原自身「しまった」と思う部分もあっただろうし、そもそも結果以外では説得できないこともある。